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■「銀月館」関係の連絡・告知、及び管理人ゆうづきの日々の雑感等■

死後受精の問題

12月9日の夕刊によると、産科婦人科学会で、凍結保存した精子を用いての生殖補助医療については、夫の生存中に限定するという公式見解が出されました。
これは、今年9月、夫の死後に誕生した子の認知を求めた訴訟に対して、最高裁が、“現行の民法において夫の死後の妊娠・出産を想定しておらず、死亡した父との法律上の親子関係は認められない”として請求を棄却したことに基づくものです。


感情的には、本当に気の毒だなと思うのです。
子供が欲しかった夫婦。ついに子供の顔をみることなく死んでしまった夫。女手ひとつで育てることになることを覚悟して、それでも亡夫との子供を授りたいと願い、それがようやく叶ったと思いきや、法律の上では亡夫と子の絆は認められない。やりきれない思いだろうと思います。

けれど、それでも、現時点で最高裁がこうした判断をだし、学会がそれに沿う指針を示したことについては十分理解できます。
例えば、相続の問題。
夫が死亡した時点では存在していなかった子供にも、相続権は認められるべきか。もしもそうなら、それはいったん配分した遺産を計算しなおして再分配するのか。
今回のケースの場合も、死後生まれた子供に法的な裏づけがなされていたら、夫の遺族と骨肉の争いになっていたのかもしれません(できればこの問題のケースでは夫側の遺族も死後出産に肯定的だったと信じたいところなのですが)。とりあえず、相続の問題だけとっても、慎重に判断せざるを得ないことは理解できます。
最高裁において、民法に規定がない、というやや消極的な理由を呈示するにとどまったのは、結局今回の判断いかんによっては今後の同様のケースにその判例が適用されることが予想され、その場合には妻が亡き夫の子供をほしがる動機が必ずしも純粋でない場合も想定した判断あるいは判断基準が求められていると考えていく必要があるからですが、妻の愛情が本当であるか、出産に至った動機が純粋であるかなんて、何をもってしても判断のしようがないですよね。

例えば、もしもこの亡夫が生前有効な遺言書を遺し、その中で「死後自分の精子により誕生した子供を認知する、その際混乱のないよう、予め遺産をすべて配偶者に遺す」と表明していたら、今回の判断もまた違ってきていたかも知れません。
しかし。その場合、妻は本当に亡き夫の子供を出産していたでしょうか。

法律上認められなかったのは残念でしたが、寧ろ純粋に、夫の子供は授ったのだからと考えればそれはそれで喜ばしいことだと思うべきかもしれません。育てていくのには大変だと思いますが、この妻が、遺産の再分配目当てでなく、純粋に亡き夫とのつながりをもとめたのなら、頑張っていただきたいものです。



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