■銀月館MENU[ TOP | DIARY | aboutThisSite | Circle Information | SailorMoon | GALLERY | COLUMN | LINK ]

銀月館DIARY

■「銀月館」関係の連絡・告知、及び管理人ゆうづきの日々の雑感等■

球児たちの熱い夏〜決勝戦回顧編

■劇的な幕切れ
よりによって、決勝戦の日から3日間、家族旅行をくんでいて、後ろ髪引かれる思いでいってきました…(orz)というわけで、今頃更新です。
不安だった九州対決を危なげなくクリアしたことには意外ささえ感じましたが、ほっとしました。でも、次の試合は帝京に続き歴史も実力もある強豪校、広陵。負けるにしたって負け方があるし(試合前のインタビューでは、佐賀北は監督も久保くんも「接戦にできればいいけど…」と発言しています。これは「接戦にもちこめば勝機があるかも」というニュアンスだと思うのですが、佐賀人にとっては「負けるにしても接戦で…」という結構切実な心情にもマッチしていたりして、実際至言でした(^_^;))、できることなら家でテレビに張り付いていたかったというのが本音です…。
とにかく実家(佐賀)から合流した両親も含め、
「今日は広陵みたいな強豪校相手できっと負け試合になるから、見ない方がいいよ。準優勝は確実だし、そもそもここまできたのが立派じゃないの」
などと互いに観光に集中しようとしつつも、どうにも気になって仕方がありません。しばらくは携帯でイニング毎の結果を確かめたり、時々ラジオの実況を聞いてみたりしていましたが、予想どおりというかなんというか、7回終わって0対4、敗色濃厚になってきた、というので、最後くらいはテレビを見て応援したいとテレビのある観光客向けの待合室に入り込み、みんなで必死で眺めていたのです。


その3分後に逆転満塁ホームラン。


実をいうと場所は島根。気分はアウェイだったので、派手に喜ぶのもどうかと声を殺していたのですが、意外にも周囲の人々も「おお〜っ」と感嘆の声をもらしていました。おそらく観光客が多かったからだと思いますが、ちょっと嬉しかったです(^-^)


■既視感〜13年前との一致
それにしても、開幕試合を引き当てたあたりからおそらく県民(と出身者)を中心にみんな感じていた事だと思うのですが(というか優勝後の新聞報道等も軒並み書いているのですが)、今回の大会の軌跡は、本当にまるで13年前の佐賀商の軌跡を再現しているようでした。
いや、プラスαしてグレードアップしている、といった方が正確でしょう。
何しろ、優勝候補で文句なく強豪校である帝京をやぶっての準決勝進出でしたし、延長引き分け再試合もありました。
何より印象的だったのは、決勝で佐賀北を応援する声が随分多かった事です。
それが佐賀人にとっては嬉しくもあり驚きでもありました。

何しろ、13年前の佐賀商の優勝のときは、鹿児島樟南との九州対決で他の地域の関心は一気に低くなった上、鹿児島樟南はその前年、勝っていた試合が雨天ノーゲームとなり、やり直した試合で敗退した悲劇を背負っていました。しかも鹿児島商時代から九州の強豪校として名を馳せていながら、後一歩のところで優勝を逃す事が多く、九州対決といいつつも、佐賀県以外の県のほとんどは鹿児島を応援していたというのが実情だったような気がします。
私も、樟南の相手が佐賀商でなければ樟南に優勝してほしかったくらいでしたから。

それが今年は勝ち進むにつれて全国の注目を浴び、共感を呼び、甲子園も満員御礼。近畿勢がかんでおらず、スター選手不在の今年は決勝は少しさびしくなるかな…と思っていたのに、嬉しい誤算でした。

それにしても、本当にこの大会での佐賀北と13年前の佐賀商は似ていましたね…
まず開幕一番星。
佐賀商が開会式直後の試合を引き当てたあの時、「佐賀、今年は開会式のすぐあとだって。甲子園に半日もいないで帰ってきちゃうんじゃない。かわいそうに」などと嘆いていたら、あれよあれよという間に優勝。
それがあったから、佐賀北のときはむしろデジャヴと軽い期待さえしたんですよね。
そして、九州勢大躍進。
昨年は近畿勢がベスト8に3校残っていましたが、今年は九州がそれに取って代わっています。13年前のあの年もそうでした。だから、あのときも今回も、決勝や準決勝で九州対決が入っています。
他にも、猛暑だったとか、有名選手のいない小粒チームだったとか、佐賀商も佐賀北も公立校だとか、新潟勢が3回戦まで進んだのも13年前と今年だったとか、細かいことがいろいろ当てはまっているのですが、極めつけはやっぱり。

決勝戦で満塁ホームラン。

偶然だけでここまで一致するものでしょうか。
決勝戦の満塁ホームランは今回の佐賀北と13年前の佐賀商の2校、佐賀県勢だけがやっているそうです。


■エース対エース
13年前を印象深く記憶しているものとしてはついつい佐賀商と重ねてしまいますが、この決勝戦においては他にもいろいろとドラマがありました。
私にとって印象深いのは、あまりよそでは取り上げられてないような気がしますが、逆転の口火を切ったのが、エースの久保くんだった事です。
よそのチームでは、今回、「エースピッチャーでかつ強打者」というケースが多々見られるんですよね。今治西の熊代くん、長崎日大の浦口くん、そして決勝の広陵の野村くん、と投打にわたって活躍する選手が多い印象でした。
一方、佐賀北は馬場くんも久保くんもほとんど打ちません。馬場くんは前橋商戦でランニングホームランという大活躍もしてはいますが、本人もびっくりの結果。久保くんに至っては、私が見ていた限り、あの犠打の冴える佐賀北でバントもろくに決めていなかった気がします。多分本当に苦手なのでしょう。
それでも甲子園で無失点、確実な抑えでチームに貢献してきたのに、久保くんの無失点記録にストップをかけたのは、広陵で同じくエースピッチャーの野村くんでした。

ああ、崩れる。

久保くんが点を取られたと聞いたとき、私はそう思いました。パーフェクトを貫いてきた選手ほど、崩れた時にもろい。それをたびたび目にしてきたからです。
でも、久保くんは崩れなかった。こらえてこらえて、ほとんど表情にも出さず、それまでと同じ投球をし続けた。そして、次にやってきた自分の打席で、反撃の口火を切るヒットを打つのです。確か、甲子園初ヒットがあの一打でした。
久保くんのあの一打があって、代打新山くんにつながり、連続四球に押し出し(これには審判の判定を巡っていろいろ議論があることは承知してますが、仮に疑義があってもそれは審判、判定に対してであって、両校のプレイを貶めたり覆したりできるようなものではないですよね)となって、一死満塁、逆転満塁ホームランの奇跡につながるのです。

そしてラストシーン。
奇しくも、この試合のラストバッターは投手の野村くん。
エースピッチャー対エースピッチャーの対決がラストを飾った点は、昨年の早稲田実と駒大苫小牧戦の決着を彷彿とさせるものでした。
どちらも、ラストバッターとなったエースのバットが空を切って、試合が終了しています。

甲子園を戦い抜くごとに、どのチームも物語性を帯びていきます。あるチームは歴史を背負い、あるチームは悲劇の戦績をもち、あるチームは一人の選手のカラーに印象づけられ、あるチームは監督の采配が際立ち、あるチームは高い技術を誇り…
双方の物語と物語がぶつかって、そこにドラマが生まれる。
「野球は筋書きのないドラマ」。
使い古されたフレーズですが、本当にそう思います。特に高校野球は不確定要素が多くて何が起こるかわからない。それが怖さであり、同時に強く見るものを引きつけてやまない魅力であるといえるでしょう。


■高校野球の諸問題
最後に。
今回は、大会前から特待生問題に揺れ、公立校・佐賀北の快進撃は高野連側にも好ましい状況だったという背景もあった大会でしたが、それをもってして佐賀北の戦績そのものを愚弄するかのようなものいいをするコメントがあるのが本当に残念です。
佐賀北の百崎監督も、「特待生、何が悪いんですかね。親元を離れて野球に打ち込んでる特待生は、むしろ立派だと思いますよ。そういう特待生のいる強い学校に挑戦して、勝つのが嬉しいんです」というようなコメントをされていたようです(いろんな記事を斜め読みしたので、出典ははっきりしないのですが、大体こういう内容)。
私自身も、特待生制度はあまり問題じゃないと思ってます。
公立校の優勝は、また、特待生(としての利益を受けるような強い選手)がいるいないが勝利の条件ではないことを示しています。それならむしろ、経済的事情で野球のできる環境をあきらめざるを得ない状況を作り出すよりも、特待生という形で良い選手に良い教育環境を与えることは選手側にとってありがたい制度であると思うのです。
高校野球において、私が各校考えてほしいと思うのは、むしろ野球留学です。
特待生と野球留学はまあある意味連動している部分もありますが、特待生を学区内(県内)だけからとるのであれば、それは地域の人材を育てる事につながるし、素晴らしいことだと思うのです。
でも野球留学は…地域格差をますます広げるのではないかと思うのは気のせいでしょうか。
そもそも、高校野球を楽しみにみる私たち一般人は、一種郷土への思いを込めて応援しているところがありますから、やっぱり郷土の少年の活躍を見たいという気がします。むしろ力を入れるべきは優れた指導者の獲得と育成ではないでしょうか。

決勝戦の感動に水を差した誤審騒動も、これを機に開催側が改善策を考える機会になるなら意義もあったということになるでしょう。
ただ、高野連が偉そうとか、都合のいい事ばかりいってるとか、そういうことではないと思います。特待生問題も、アマチュア選手への利益供与の問題が端緒だったはずで、むしろ高野連は自浄のために動き出しているのではないでしょうか。その動きが、球児たちと野球の未来に真に寄与する流れを作る事を期待したいと思います。


---------- 「高校野球」カテゴリ関連記事 -----------
夏の高校野球開幕!(2007.08.08 Wednesday)
球児たちの熱い夏〜大会10日目編その1(2007.08.17 Friday)
球児たちの熱い夏〜大会10日目編その2(2007.08.18 Saturday)
球児たちの熱い夏〜佐賀北ヨイショ編(2007.08.21 Tuesday)
球児たちの熱い夏〜余韻編(2007.09.02 Sunday)
高校野球関連特番 雑感(2007.10.01 Monday)
国体で高校野球開幕(2007.10.06 Saturday)
国体高校野球2日目(2007.10.07 Sunday)
国体高校野球最終日(2007.10.09 Tuesday)
「甲子園の星」2007秋季号(2007.10.27 Saturday)

---------- 画像(イラスト)付き記事 ----------
佐賀北投手二枚看板(2007.09.22 Saturday)
ショート井手くん(2007.09.25 Tuesday)
キャプテン市丸くん&満塁弾副島くん(2007.10.06 Saturday)
広陵バッテリー(2007.10.22 Monday)

---------- 高校野球をもっと楽しむリンク ----------
NHKオンライン 甲子園2007:試合結果、トーナメント表など抜群に見やすいです。去年のアーカイブにもリンクが貼られています。

asahi.com:高校野球:結果速報、ニュース記事等とともに読める点と、甲子園における過去のデータが充実している点でとても参考になります。

ABC 第89回全国高校野球選手権大会:放送局のサイトなので、なんと今大会の全イニングごとの動画及び過去数年分の決勝戦のハイライト動画などが無料で視聴できます。見逃した試合の有る方は今すぐチェック!8/31日金曜で終了との事です。

激闘の記憶と栄光の記録:個人の方のホームページなのですが、信じられないほど詳細で見やすいデータベースです。単なる記録にとどまらず、劇的な展開について書き起こしされていることも嬉しいサイト。メニューには「世紀の大逆転劇」「不運を絵に描いたようなチーム」などというのもあって、甲子園のドラマを追体験できます。

がんばれ佐賀北 2007夏の甲子園:佐賀北の地元紙、佐賀新聞の甲子園特集。地元紙ならではの記事も多いです。おすすめv

YouTube 佐賀北 NHKダイジェスト:地元佐賀でのみ放映された、NHK佐賀の特集番組とのことです。選手ひとりひとりにインタビューしていたり、仲間のインタビューの背後でじゃれたりふざけたりする選手がみれたりするのでお気に入りの動画ですv

YouTube 佐賀北vs広陵:疑惑の判定が話題になりましたが、実際にはこの試合においては一貫してストライクゾーンがせまく、審判があのコースを佐賀北、広陵共にボール判定していたことを示す動画がアップされています。

広陵高校・中井監督の「誤審発言」をどう思う?:Biglobeの投票ページ。いろいろな人の意見や、集計結果を見る事ができます。




■■ご感想を頂けると励みになりますv ぜひポチっと…vv

この記事(又はイラスト)は…→ なかなかよかったv / イマイチ…


|雑感 > 高校野球|comments (0)|trackbacks (0)|

Comments

Trackbacks

Categories
New Entries
Recent Comments
Archives