2006.12.21 Thursday|17:26|posted by 佑月雅実
少し前から鏡リュウジさんのブログをちょくちょくチェックしてたんですが、こちらは割と御本人の近況等や著書についてのお話が多いこともあって、割と今まで軽く、チェック程度に流し読みしてました。ところが、このところとても面白い話題が続いています。
その中でもこれを一つ。
鏡リュウジブログ
「火のエレメントの理解」。
これは初歩的な事柄ではありますが、占星術の根幹に関わる部分の話題で、とても興味深いものでした。(以下引用)
通俗的な星占いの本だと、火は「情熱的」で「衝動的」といったシンプルな解説で終わってしまっているからだ。
けれど、これではあまりにも皮相すぎる。
古い星占いの入門書をあけると、火のエレメントは「精神」を象徴するとある。たとえば昭和57年に出た、子供向けの占星術入門書『星占い ホロスコープ入門』(ルル・ラブア著)をみると「火は精神を表し、神聖なものの象徴です。物事を創造、破壊する力を表します」などとある。
(中略)
感覚的な物質世界から離れれば離れるほど、真理に近づけるというプラトン的な世界の理解がここでは重要になる。
そして、火はもっとも抽象的な、イデアの世界に近いものとして理解される。
火−光は、五感によってくもらされた感覚的世界を照らし出すものなのだ。
なるほど、と唸らされます。
他の地(現実的・感覚的)、水(情感豊か)、風(論理的・思考的)の特性は割と把握しやすいと思うのですが、こと、火というのはいわゆる炎のイメージとあいまって、とても不安定で激しやすく、衝動的なイメージがつきまとうのです。
しかしながら、むしろ火のエレメントに与えられた象徴は、静かに燃えるろうそくの炎のごとく、目に見えぬ世界をも照らす「光」と同一視され、実体を持たぬがゆえに高次のエレメントであるとされている、というのが、上記の内容の示すところだと思います。
そういえば、火の星座である「射手座」は精神、哲学を司ります。
オタクらしくいえば(笑)
セーラームーンでは、セーラーマーズ(火野レイ)は牡羊座(牡羊座の支配星は火星)、火のエレメントに属する星座です。「火」星の戦士ということで、作中でも火の属性を存分に発揮していますが、はじめてこの作品を見た時に、当初違和感があったのは、このセーラーマーズである火野レイが「巫女」であるという設定です。
火のエレメントに対する一般的な認識では、情熱的で衝動的な?火のエレメントに属する者が、神仏に祈り霊感を持ち、思索にふけるというのは何だかイメージと違うのでは、という気がしていたのです。
けれど、つきつめて考えるならば、火のエレメントに託されたイメージは、寧ろこの火野レイのイメージに近いものであると言えるような気がします。
作中、レイは燃え盛る護摩壇の炎の中に、自らの霊感でもって未来を視るのですが、この姿は、上記で鏡さんが火のエレメントについて指摘していることと見事にだぶって見えます。
作者である武内直子先生がそこまで意図的に設定されていたとは思わないのですが、むしろ、意図的でないにも関わらずこうして的確に表現されていたことの方が驚くべきことだと思えます。時代をとらえる感性というのは、無意識にそういう本質を見抜いてしまうものなのかもしれません。
鏡さんのブログはこの後も興味深い話題が続いています。
改正教育基本法成立時、宗教・教育・理念を司る射手座に星が集中していたことを端緒に展開されるお話等もオススメですv